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何者でもない、ありのままの自分でいる人は美しいね

正確には

本来の自分をないものとして
必死に何者かになろうとするのをやめて
今の自分で生きていく。
・・・と心に決めた人は美しい。

ということかな!



今から約10年前に上映された映画
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」
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この映画の主人公が物語の最後に
しがみついていた過去や派手な衣装を剥ぎ落とし
ありのままの自分と向き合う場面があるのだけど
その姿が一番美しかった。


東ドイツに住む主人公ヘドウィグ。
米兵と結婚し共にアメリカに渡るため
性転換手術をするのだけどまさかの失敗。
あそこには1インチ(怒りの1インチ)だけ残されたまま・・・

夫とは1年で破局。
新恋人にはとことん裏切られてしまう主人公。

悲惨としか言いようがない彼女の人生。
過去の傷や怒りを音楽で表現することで
かろうじてバランスを保っていられた、そんなお話。

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この映画の中で
主人公ヘドウィグ率いるバンドのライブの場面があるんだけど
ヘドウィグの心情が時にユーモラスに時に切なく激しく
心に訴えかけてくるのです。

ヘドウィグの登場場面



アングリーインチの歌は滑稽に聞こえるけど
ダイレクトに痛みを感じて切ない。もしくは暴れたい。




ウィッグを被りメイクアップをして
耐えきれない孤独から少しだけ元気になる。



まるでキャバレー?ショーパブなカワイイ曲



愛の起源を歌った歌。人は皆、自分の片割れを探してる。
映画館で観た時の衝撃、今も忘れられない




いい歌だし、歌が普通に上手いよね。切ないよね。
このペラペラなサウンドの韓国奥様バンドに私も入りたい。



主人公を演じたジョン・キャメロン・ミッチェルは俳優さんでミュージシャンではない。
でももはやそんなのどっちでもいいか。


同じ歌を若い恋人が歌うバージョン。
ヘドウィグがヘドウィグでいるために必要な
大事な音楽を奪った恋人はスターダムにのし上がっていく。
この中のヘドウィグがまた切ない。一緒に泣いた。




歌の終盤、ヘドウィグがウィッグや衣装をどんどん剥いでいく。
厚塗りした隠したい自分をさらけ出す、叫びの一曲




全てを脱ぎ捨て、自分が自分でいることが一番正しい、と歌うヘドウィグ。
往年のロックスターたちも自分も乾杯。
イカしたロックに合わせて踊ろう。
このヘドウィグが一番美しくかっこいい。


ヘドウィグはもうウィッグを被らないし
厚化粧をすることもない。
過去と決別し自分として生きると決めたから。

色々失ったけれど、初めから何も持ってはいなかった。
まっさらな自分に戻れたのかもしれません。


ね!ヘドウィグ、美しかったでしょ?


この映画の見所は

どの歌も、どこかで聞いたことがあるフレーズだったり
どこかで見たことのあるパフォーマンス。
だっていかにもロックな振り付けだったり演出ばかり。
それがいいんです。

そのいかにもなロックを再現してくれてるところが見ていて気持ちいいし
かっこいいのですよ。よ!待ってました!な感じでね。



私も私を生きたい。
すがすがしくそう思える映画。
おすすめです。
何者でもない、ありのままの自分でいる人は美しいね_c0366058_23570850.jpg




色々やってます。
つながりましょう

by yukai_dp | 2016-11-09 23:59 | 思うこと | Comments(0)

岐阜県大垣市在住のイラストレーター、グラフィックデザイナー。見過ごされてしまう素敵なものを見つけたい。


by yukai